デジタルマーケター育成プログラム

デジタルマーケター育成プログラム

土方研究室では,デジタルマーケター育成プログラムを開発し,提供しています.研究室に配属された学生のみが,これを受講することができます.デジタルマーケターを専門にした育成プログラムを提供する高等教育機関は少ないと思います.ぜひ,積極的に受けていただければと思います.

デジタルマーケティングとは
eduphoto1Sデジタルマーケティングとは,インターネットやITなど「デジタル技術」を活用したマーケティングを指します.その中心になるメディアはWebやソーシャルメディアですが,それだけではなくスマートフォンやウェアラブルデバイス等の行動ログや,商品に搭載されたIoT経由の接触データ,実世界でのセンシングデータなど,あらゆるデジタル環境におけるデータが用いられます.これらのデータを分析し,その結果をコンテンツやアプリケーション,インタラクションデザインに反映させることで,顧客と企業の関係性の質を向上させます.

デジタルマーケティングのプロセス
一般に,デジタルマーケティングは,次のようなプロセスで実施されます:
(1) 消費者 (ユーザー) の行動・心理データの収集
(2) データの整理・整形
(3) 統計的分析や機械学習によるモデル化
(4) 分析結果や生成モデルに基づくマーケティング設計・UXデザイン
(5) マーケティング・サービス実行後のユーザーの行動変容の評価

eduphoto2Sこれらのプロセスを一貫して行う専門家をデジタルマーケターと呼びます.データを分析することができるだけでなく,そのドメイン(ビジネス)についての知識や経験を用いて,入り口から出口まで(入力から出力まで),一貫して実施します.単に,データを取得したり分析できたりするだけでなく,そのドメイン (業界) における課題や仮説の設定,必要な特徴量の選定,適切な統計的分析手法や機械学習アルゴリズムの選定,結果に対する心理学的・社会科学的解釈などが行える必要があります.

デジタルマーケター育成プログラム
eduphoto1S本研究室では,デジタルマーケターを育成する専門の教育プログラムを実施しております.顧客の購買行動を支援するか,もう少し広く人のデジタル環境での自己表現や意思決定を支援するかという最終ゴールの若干の違いだけで,デジタルマーケティングの仕事に必要なスキルは,社会情報学の研究に必要なスキルと,ほぼ変わりありません.そこで,本研究室に配属されましたら,研究に必要なスキルを習得してもらうべく,デジタルマーケター育成プログラムを受けていただきます.

デジタルマーケター育成プログラムの骨格
トップレベルのデジタルマーケターになるために,最高学府である大学で習得すべき能力と経験すべき内容は,以下の5つだと考えています.これらは,その時代だけで有効な表層的なマーケティング手法やビジネスモデルなどではなく,創造的なデジタルマーケターとして生涯にわたり活躍していくためのスキルと経験になります.

D-skill1
デジタルマーケティングでは,顧客 (ユーザー) に関する情報を様々な形式で取得します.入手後に,ある条件に合うデータを取得したり,表記の違いを統一したりするデータクレンジングと呼ばれる作業が欠かせません.また,AI (機械学習) の技術を用いて,予測や判別を行います.これらを行うのは,すべてコンピューター・プログラムになります.プログラミング能力は,デジタルマーケターになるための必須能力と言えます.当研究室では,今世界で最も注目されている最新のプログラミング言語であるPythonを使って,プログラム制御構造から,オブジェクト指向プログラミング,アルゴリズムとデータ構造までを演習形式で学びます.

D-skill2
デジタルマーケティングでは,収集したデータを様々な観点から統計的に分析し,AI (機械学習) により予測を行います.便利なツールは出ていますが,それらをブラックボックスとして使っているだけでは,出力された結果の意味や,精度向上の理由などをクライアントに説明することができません.データを機械的に処理するだけのマーケターで終わるか,新たなマーケティング手法や知的なアプリケーションを設計するような創造的なマーケターとして活躍できるかは,数学の能力にかかっているといっても過言ではありません.当研究室では,デジタルマーケターになるために必要な数学知識に特化して,それらを演習形式で学びます.具体的には,数の性質,基礎的関数(指数関数,対数関数,三角関数),集合と命題,数列,確率・統計,線形代数(ベクトル,行列,一次変換),微分積分を学びます.

D-skill3
デジタルマーケティングを実践するのに,何もかもが自動でできるのであれば,人文社会科学系の専門知識を持った人材は必要ありません.しかし,実際には,顧客からどのような情報を引き出すのか,どのような行動・心理モデルを開発するのか,AIの判断をどのように評価するのかなどを考えるには,対象となる「ヒト」について深い知識と洞察が必要です.人文社会科学系の知識が必要な点が,これまでのデータエンジニアリングとは異なります.当研究室では,「ヒト」の行動や心理を科学的に分析する術を学ぶために,心理学実験の実習に取り組んでいただきます.明らかにしたい行動心理に関する仮説の設定方法,アンケートの設計方法や実験の実施方法,信頼できないデータの除去方法,データ・クレンジングの方法,統計的仮説検定の方法,結果から洞察を導く方法などを学びます.

D-skill4
デジタルマーケティングを実践するには,データを分析するだけでなく,その結果を用いて顧客に提示するコンテンツやメディア,アプリケーションなどを作成できなくてはいけません.これらは,総称するとクリエイティブと呼ばれます.大規模なプロジェクトにおいてはクリエイティブの作成には,美術やデザインを学んだアーティストやデザイナーに関わってもらうことが多いですが,小規模なプロジェクトや設計段階では自らがモックアップを作成・実装できなくてはなりません.当研究室では,(1)のプログラミング研修の最終課題として,プログラミング自由課題を実施していただきます.そこで,皆さんが実現してみたいアプリケーションを何でも良いので,形にしてもらいます.自分が決めた夢のアプリを,自分の手で一つの形にしてもらうという経験を積んでいただきます.

D-skill5
ビジネスをより俯瞰してみたり,様々な実践例から多くのドメインに適用できる一般的な手法やモデルを導き出したりする際には,人間科学または社会科学における学術的研究の実施経験が必要です.科学研究の分野では,仮説を立て,その仮説を明らかにするための実験を設計し,データからそれを統計的に明らかにします.ビジネスの分野においても,売り上げ高や閲覧回数といったビジネスに関連する指標が目的にはなりますが,すべてはこの仮説と検証の繰り返しです.経験を積んだデジタルマーケターは,やがて企業や社会からデジタルマーケティングのコンサルタントとしての役割が期待されることでしょう.当研究室では,デジタルコミュニケーション環境に特化して,最新の研究テーマを設定し,本物のデータやユーザを対象に科学研究を行う機会を提供します.また,国のプロジェクトや,他大学や他研究機関との共同研究,企業との共同研究などを通じて,国内の大学ではトップレベルの研究指導を行います.