論文紹介

[論文紹介] ICWSM’18 How Constraints Affect Content (Twitter’s Switch from 140 to 280)

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[論文紹介] ICWSM’18 How Constraints Affect Content (Twitter’s Switch from 140 to 280)

Kristina Gligoric, Ashton Anderson, Robert West: How Constraints Affect Content: The Case of Twitter’s Switch from 140 to 280 Characters, Proc. of Twelfth International AAAI Conference on Web and Social Media (ICWSM’18), pp. 596-599, 2018

多くのソーシャルメディアでは,投稿に文字数の制限を設けている.例えば,Instagramでは2200文字,LinkedInでは700文字,Pinterestでは500文字という具合にである.これらのソーシャルメディア・プラットフォームにおいて,文字数の制約を緩和すれば,ユーザはより創造的にコンテンツを作り出すのか?という疑問に答えようと思うと,これらのプラットフォームで制約を緩和した場合とそうでない場合とをA/Bテストで比較しないといけないが,これを行える権限を持っているのは,唯一プラットフォーマーだけである.

しかし,このような文字数制限の緩和に関する絶好の研究機会が訪れた.それは,2017年11月に実施されたTwitterの文字数制限の緩和(140字→280字への変更である.以降,「スイッチ」と呼ぶ).この変更を研究の機会ととらえて,この研究者たちは,
RQ1 文字数の制約は,文章の書き方に何らかの特徴をもたらしているのか?
RQ2 長さの制約は,他者からのフィードバックの受けやすさに影響を及ぼしているのか?
の2点を明らかにしている.

調査は,スイッチ直前と直後の,136~140字のツイートを比較している(スイッチ直前と直後を比較している).136~140字というのは,Twitterの文字数制限の影響を受けた可能性の高いツイートである.

RQ1に対する調査では,スイッチ直前と直後の136~140字のツイートにおいて,特徴的な言語的記法を行っているツイートの割合に差があるかどうかを統計的に検証している.その結果,スイッチ直前(制約がある場合)は,”and”の代わりに”&”を用いたり,定冠詞を省略したり,省略語(Appleの代わりにaplなど)を利用したり,助動詞の省略形(do not ではなくdon’t)を使用したりしていた.

RQ2に対する調査では,スイッチ直前と直後の136~140字のツイートにおいて,スイッチ直前と直後の,どちらの方が他のユーザからのエンゲージメント(engagement:LikeやRetweet)が得られるかを調べた.同じ文字数(136~140字のツイート)で比較すると,スイッチ前の方が,わずかにエンゲージメント(少なくとも一つのエンゲージメントを得る確率)が高いことが分かった.

ツイートの文字数という制約が,言語的な記法の特徴,他者から受けるエンゲージメントに影響があったことを示す興味深い結果である.言語的な記法は,予想できる結果ばかりであったが,エンゲージメントにも影響が出たのは興味深い.おそらく,長い文字数のツイートほど,コンテンツが多く(意味や情報が多く),エンゲージメントを得やすいのだと思われる.140字という制約は,そのようなリッチなコンテンツを無理やり140字に収めたため,140字ぎりぎりのツイートはエンゲージメントを得やすかったのだと思われる.

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