ミッション・ポリシー
教育:高度専門職人材の育成
土方研究室では、日本の科学や産業に革新をもたらす、または高度に発展させることができる、高度専門職人材を育成します。具体的には、
- データを自ら分析するスキル
- アプリケーションを自ら開発するスキル
- 科学的調査法や実験計画法、検証方法を立案するスキル
- 社会問題を発見し、解決する方法を立案するスキル
- 特定の分野について、世界一のナレッジを持ち、それを学問体系としてまとめるスキル
の5つを併せ持つ人材を育成します。
なお、現在取引関係のあるお客様とのビジネスの推進、現在販売中の商品の拡販、次に販売する商品やサービスの開発を行う人材を育成することは目標にしていません。科学研究を前進させたり、企業の基盤となる技術やプラットフォームを開発したり、未来のビジネスや顧客のための社会調査(マーケティングリサーチ)を行ったり、企業の将来の経営に寄与する汎用的なフレームワークやビジネスモデルを開発したりすることのできる人材を育成することを目標にしています。
職種としては、科学者、エンジニア、コンサルタント、マーケター、データサイエンティストなどの高度専門職に就くことを目指します。就職先としては、大学、国立研究所、企業研究所、コンサルティング部門、マーケティング部門、データサイエンス部門などの、研究機関や先端部門に就くことを目指します。
上記の人材育成を、土方研究室に2年以上在籍する学生に対して行います。なお、一部のスキルは、学部・または大学院で提供されている科目を活用しつつ進めます。なお、2年以上在籍しない学生については、大学のディプロマポリシーに従い、教育します。
研究:人が幸せになれるメディア環境とパーソナライゼーションの実現
土方研究室は、コンピュータ駆動のメディア・コミュニケーション環境と、AI駆動による知的システムにおいて、人の行動特性とそれを引き起こす心理特性を明らかにすることをミッションにしています。人のコミュニケーション媒体は、テクノロジーの開発と共に進化してきました。そして、コミュニケーション媒体が変われば、人の行動や価値観も変化してきました。一方、ホモサピエンス誕生以降、人には変わらないコミュニケーションや行動の特性もあります。これらメディアの進化により変わった行動特性と、人の種として変わらない行動特性を、大規模な社会調査や心理学実験により自らデータを収集し、データサイエンスの技法で科学的に検証し、モデル化することを目指します。
また、このような新しいメディアにおいては、人工知能を用いた支援システムが欠かせません。高度な知的サービスを提供するシステムや、極めて本物の人間に近い人工物とインタラクションをとるときの、人の行動特性も変化しつつあります。人はロボットに対して、人と同じような応対をしたり、感情や愛情を抱いたりする日も遠くないかもしれません。現在生まれつつある新しい知的サービスやエージェントに対して、人はどのような行動特性を持っているのかを、心理学実験とデータサイエンスの技法で科学的に検証し、モデル化していきます。
発見した心理モデルや行動モデルを用いて、人の行動を良い方向に変えるようなパーソナライゼーションシステムを開発し、企業との共同研究を通して社会実装することも目指します。このようなデジタルメディアやAIシステムにおける人の心理や行動を解明する学問を、メディア心理学と呼んでいます。この分野は、社会学と心理学、そして情報学が融合してこそ、成り立つ新しい研究分野です。とりわけ、実環境で得られたデータを解析する高度なデータ分析技術や、社会実装するためのシステム開発能力、デジタルメディアや知的システムを実現するための要素技術への理解が必要です。これらは文系学部で身に着くものではありません。
土方研究室は、メディア心理学の分野における世界のトップランナーになることを目指します。
土方研究室では、科学研究機関です。そのため、研究成果は論文の出版を通じて、広く認知されるようにします。土方研究室の学生は、以下の学会発表や投稿が卒業までのゴールになります。
博士課程学生
- 国際学会論文誌に2本論文(英語論文)採録
- 国内学会・国際学会での研究発表 3回以上
修士課程学生
- 国際学会論文誌に1本論文(英語論文)投稿
- 国内学会での研究発表 2回以上
学部学生(プロジェクト研究コース)
- 国内学会での研究発表 1回以上
学部学生(探求コース)
- 特になし
土方研究室は大学院進学を強く推奨します。就職活動を行う前に上記の5つのスキルを獲得する教育プログラムを受けてもらいたいからです。
学部卒 vs 大学院卒
学部で就職する場合は、これらの教育プログラムを受ける前に就職活動を行う必要があります。その場合、一般的な教育を受けてきた大学生として、総合職として就職することになるでしょう。しかし、大学院に行き研究活動に従事すると、高度専門職として企業や研究所の最先端の部門に配属される可能性が高まります。下の2つの図は、某大学の国際関係学部(いわゆる文系学部)の学部卒と大学院卒の就職先の比較です。
学部卒の就職先は、良い所だけを載せていると見て良いでしょう。大学院卒の就職先は、ほぼすべてが載っていると見て良いでしょう。大学院卒の就職先の方が、専門性がぐんと上がっていることが分かります。もともと高校生の時に志望していたような国際関係の仕事に就けていることが分かります。すなわち、情報系や理工系はもちろんのこと、文系でも大学院に進学すると、ぐんと就職先のレベルが上がるということです。
これらのことから、土方研究室は大学院進学希望の、高い志のある学生に入ってきてもらいたいと思います。そして、自分のスキルや経験を生かした、より広い世界に羽ばたいていって欲しいと思います。